旧約聖書「伝道の書」

第 1 章

ダビデの子、エルサレムの王である伝道者の言葉。

伝道者は言う、空の空、空の空、いっさいは空である。

 

日の下で人が労するすべての労苦は、その身になんの益があるか。

世は去り、世はきたる。しかし地は永遠に変らない。

 

日はいで、日は没し、その出た所に急ぎ行く。

風は南に吹き、また転じて、北に向かい、めぐりにめぐって、またそのめぐる所に帰る。

 

川はみな、海に流れ入る、しかし海は満ちることがない。川はその出てきた所にまた帰って行く。


すべての事は人をうみ疲れさせる、人はこれを言いつくすことができない。

目は見ることに飽きることがなく、耳は聞くことに満足することがない。

 

先にあったことは、また後にもある、先になされた事は、また後にもなされる。日の下には新しいものはない。

 

「見よ、これは新しいものだ」と言われるものがあるか、それはわれわれの前にあった世々に、すでにあったものである。

 

 前の者のことは覚えられることがない、また、きたるべき後の者のことも、後に起る者はこれを覚えることがない。